2006/12/15 (Fri) あんそろのこぼれねた2

■朝起きたら眼鏡をしたままでかなりびっくりどっきりでした。眼鏡したままでも寝れるもんなんですね~!体がなんだかばきばきしますけど(…)。
続きはこぼれネタ2です。以前の長生きジェイドなネタです。
A5用に書くのは久しぶりなので実はかなり楽しかったです。一段とかもやってみたかったので(ほくほく)。


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 扉を開けて迎え入れたアニスは途端に変な顔をしてみせた。
「アニ~ス?」
「いいえいいえなんでもありませんよ、さあどうぞっ」
 察しのよい彼女はどこか慌てた調子で席をすすめる。かちゃりと茶器の立てる音さえ好ましかった。柔らかな午後の光が茶の支度をするために窓辺に立つアニスの輪郭を溶け込ませている。
 ふわりと茶の香りが部屋の中に満ちていく。
「ルークという名の子供に会いましたよ」
 ジェイドが口にした言葉の意味を察しのよい彼女は正確に理解したようだった。ほんの一瞬泣きそうに顔を歪めて、それから彼女は手元に目線を落とした。かちゃりとまた音が立つ。
「増えてますよ、ルークって名前」
 茶海を傾ける彼女の手元は既にしっかりとしていて、ジェイドの前に差し出された器からはよい香りが立ち上っている。
「打診がきて、初めて知りました。ルークって特別な名前だったんですね。もう預言なんて関係ないんだからって、言ってやりましたよ!」
「増えてるんですか」
「そうですよ。も~、なんで大佐が知らないんですか! 陛下だって知ってましたよ~? もう! 研究室にばかりこもっているからですよ!」
 呆れたように腰に手を当ててそう口にする彼女にジェイドは苦笑した。まったくもってその通りだと自覚していたからだ。世界がそんなふうにいつのまにかゆるやかに変わろうとしていたことに気がつかなかった。
 ずっとね、嬉しくて、言いたかったんです。アニスが不満そうに口にする。気を遣わせていたのだと、気がついた。ジェイドが気がつくのを、彼女もあの親友もそれからあのおせっかいな伯爵殿も待っていたに違いなかった。この間顔を合わせた彼はどこか吹っ切れたようにも見えて、ジェイドは少し意外に思っていたのだ。
「増えてるんですよ」
 とんだ思い違いだった。
 誇らしげに嬉しそうに、でもほんの少しだけつらそうに、彼女は口にする。
 その心情を理解して、ジェイドもまた目を伏せた。茶杯から湯気が立ち昇る様を眺め見る。口に含めば、存外に喉が渇いていたことを思い出した。
 飲み下せばからだ中に染み入るように、満たされてゆくものがあった。
 私もぼやぼやしていられませんねえガイに先を越されるとはねえ、呟けば、俯いたアニスもすんと鼻を鳴らして再び茶壷に手を伸ばす。それがいいですよ、と呟いた。

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